ダイヤモンド・ストーリー
世界中にあるダイヤモンドにまつわるエピソードや興味深いお話を紹介しています。
その昔、悪しきものを退散させる厄払いの石として崇められたダイヤモンド。
中世の西洋ではダイヤモンドは、その美しさよりもむしろ迷信の対象とされていました。万物最高といわれるその硬さはすべての悪しきものを退治させるという迷信につながり、生死をかけて戦場へ向かう騎士たちは、剣や甲ちゅうに必ずダイヤモンドをつけ、自らの命や国の勝利を祈っていたそうです。
不幸を呼び覚ます青い妖しい光。不思議な力を秘めたホープ・ダイヤモンド。
インドの農夫が畑を耕しているとき、鍬に当たって発見された44・5カラットの青く透きとおった石・ホープのダイヤ。このダイヤには偶然の連続としてかたづけるには、あまりにも不幸なエピソードがつきまとった。
探検家ダベルニエによってフランスに持ち帰られたこのダイヤは、当時の王・ルイ14世、ルイ16世へと受け継がれた。しかしルイ16世はフランス革命により断頭台の露と消え、その後このダイヤを手に入れた実業家は落馬して死亡、次々と持ち主を変えるのだが、火災、精神異常の末に自殺、事業が失敗し破産など、行く先々で不幸をもたらした。そして、最後にこのダイヤを手に入れた宝石のコレクションで有名だった銀行家ホープ氏に買われたことより「ホープのダイヤモンド」と呼ばれることとなったのだが、ホープ氏もこのダイヤを手にした後、破産することに。それから幾多の宝石商を経て、今ではワシントンにあるスミソニアン博物館にひっそりと納められています。
世界最大の輝きを放つ、3106カラットのダイヤモンド「カリナン」。
1905年、南アフリカのトランスバールにあるプリミア鉱山で3106カラットもある巨大なダイヤモンドが産出された。澄んだ水のような透明度をもつこのダイヤモンドには、鉱山主の名が付けられ「カリナン」と呼ばれることになった。
当時、イギリスの植民地であった南アフリカはカリナンをイギリス国王エドワード7世に献上することに。南アフリカより届いたカリナンを国王はさっそくカットして9個の大きな石と96の小さな石にし、王室内の装飾品として使用しました。その中でも最も大きく、ペアシェイプにカットされた530.20カラットのダイヤモンドは今でもイギリス王室のしゃくにセットされており、タワー・オブ・ロンドンに保管されているそうです。